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DNAですべてが決まる世界 映画「ガタカ」(1997) あらすじ ネタバレあり感想 考察

今回紹介するのは1997年アメリカで公開されたSF映画「ガタカ」です。

この映画は、遺伝子操作により普通の人間よりも優れた能力を持つ「適正者」たちが社会に存在するようになる、近未来を描いた作品です。

イーサン・ホークとジュード・ロウというハリウッドを代表するイケメン俳優たちの共演にも要注目の作品となっております。

では、さっそく紹介に移っていきたいと思います。

 

「ガタカ」

f:id:mamamatutu:20200517211430j:plain引用元: 映画.com

 1997年 アメリカ

原題:『GATTACA』

監督:アンドリュー・ニコル

出演:イーサン・ホーク

           ユマ・サーマン

           ジュード・ロウ    他

 

映画「ガタカ」あらすじ

舞台は、遺伝子操作により優れた知能と肉体を持って生まれた「適正者」と、自然妊娠により「適正者」よりも劣る者として生まれた「不適正者」が混在する近未来の世界。

主人公ヴィンセント(イーサン・ホーク)は親の自然妊娠によって「不適正者」として生まれ、弟であるアントンを含む「適正者」たちには能力的に勝つことができずにいた。そんな中、幼少期のヴィンセントは、いつか「適正者」にのみ認められた職業である宇宙飛行士になることを夢見ていた。

大人になり、掃除夫として働きつつも夢をあきらめることのできないヴィンセントはある日、DNAブローカーから、「適正者」でありながら事故により下半身の自由を失い選手生命を絶たれた競泳選手の男、ジェローム・モロー(ジュード・ロウ)の生体IDを入手することに成功する。

ジェロームの協力を受けつつ、違法な生体偽装に手を染めながらも、ヴィンセントはついに宇宙局「ガタカ」の一員になることに成功するが...

映画「ガタカ」感想、見どころ(ネタバレ注意)

   遺伝子によってすべてが決まってしまう世界

本作は、具体的に何年とは明かされていないものの、生まれついて持った遺伝子によって職業や身分が決定されてしまう近未来の世界を舞台に物語が進んでいきます。主人公ヴィンセントが入ることを熱望していた宇宙局「ガタカ」の職員のような高級な職業に就くには、社会的に認められた「適正者」であることが何よりも求められます。実際に、「適正者」であるジェロームの遺伝子は群を抜いて優秀であり、ヴィンセントはそのDNAを用いて「ガタカ」の登録試験に一発で合格することができています。必要なのは「優秀なDNA」だけであり、他には何も求められないのです。

この衝撃的な設定ですが、現在の視点から考えると、なんというかこれから先完全にそうならないとは言い切れないある種のリアリティがありますよね。遺伝子操作技術は日々進歩を遂げており、現在では、人間のうちにあるすべてのDNA配列ですら解明されてしまっています。このような世界が現実になることは倫理的に問題があるだろうとはいえ、そんな世界を映画として20年以上前の作品で綿密に描けるのはすごいことだと思います。

   ヴィンセントの努力に脱帽

ジェロームの生体IDにより晴れて「ガタカ」の一員となったヴィンセントですが、いくらジェロームの遺伝子が優秀であるとはいえ、局内で宇宙飛行士になるためには知能と運動能力その両方で十分な成果を収めなければなりません。そこで「不適正者」であるヴィンセントは、「適正者」である同僚たちに負けないよう、途方もない努力を重ねるのです。

この、局内に入ってからヴィンセントが「努力」のみで成り上がっていく描写にはとても心を打たれます。

終盤、宇宙飛行士として選ばれたヴィンセントは、宇宙船に乗り込む直前、抜き打ちテストとして最後のDNA検査を課されます。この時、ジェロームのDNAを持っていなかったヴィンセントは、バレることを覚悟して仕方なく自らのDNAを差し出すのです。そのDNAはいつものジェロームのものではないため、検査官は彼が「不適正者」であることに当然気づきます。ところが、検査官はここでヴィンセントを見逃してくれるのです。理由は、ヴィンセントは「不適正者」である彼の息子に希望を与えてくれたから、というものでした。普段から提出するDNAが本人のものでないことに気づいていた検査官でしたが、ヴィンセントのひたむきな努力に心を打たれ、このように見逃してくれたのです。

なんというか、これだけの管理社会の中でこのような行動がある、というだけでなんだか心が温かくなりますよね。ジェロームの努力は作中世界において一部の人々に希望を与えるものでありえました。

   階級越しに芽生えた友情?

DNAの提供を受けるヴィンセントと、それを提供するジェローム、二人は便宜上共同生活を始めるのですが、この生活を続けるうちに、二人の間には奇妙な友情が芽生え始めます。この世界において、「適正者」と「不適正者」の間には一枚壁のようなものがあり、社会的にも大きな隔たりがあります。そんな中、いびつな形であるとはいえ、二人の間に友情が形成されたということはとても美しく感じます。

弟のアントンや同僚のアイリーン(ユマ・サーマン)もそうですが、「適正者」でありながら「不適正者」であるヴィンセントのことを見下さず、認めて接するような人間の存在には、社会がこのような形に変容してしまっても変わることのない人間の本質の美しさを見ることができたような気がしました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか、DNAによってすべてが決められてしまう世界とそこで暮らす人々を描いた作品「ガタカ」。

恵まれた血統の者しか社会的階層の上位には行けない、そんな社会はともすればかつての貴族社会(アリストクラシー)の血統主義の再来を思わせます。ヴィンセントはそんな社会に対し、努力によって一矢報いることに成功したわけですね。

余談ですが、原題である『GATTACA』のすべての文字がDNAの基本塩基であるアデニン、チミン、グアニン、シトシンの頭文字で構成されているの、とてもオシャレですよね。まあ、そんなオシャレな名前が宇宙局の施設名としてこの遺伝子管理社会を象徴するものとなってしまっているわけなのですが...

ともあれ、この映画、今回紹介できなかった部分も含め、非常に完成度の高い作品であるということができると思います。

「適正者」でありながら道を閉ざされてしまったジェロームの苦悩や、ヴィンセントとアイリーンの関係など、ほかにも見どころはたくさんありますので、気になった方はぜひこの機会に観てみてはいかがでしょうか。

 

個人的おすすめ度 ★★★★☆

 

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